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テンガ事件



日々、生きておりますと



ある瞬間、脳内でドラゴンクエストの



テレレレッテッテレー♪



というレベルアップ音が再生されることがあります。


つまりは、



「自分の人間としてのレベルが上がった」



という合図なのですが、



今から3年ほど前に「テレレレッテッテレー♪」が鳴った瞬間がありました。



そのときは、ホテルでビュッフェの朝食を食べていたのですが


(自分みたいなもんがビュッフェとかすみません)




持ってきたりんごジュースの中に、小さい虫が浮いていたのですね。



で、最初は「うわー、腹立つわー」と思ったのですが



その瞬間、



「テレレレッテッテレー♪」



が聞こえてきたわけです。



どういうことかと言いますと、僕はこのとき




「この虫、まだ息があるんじゃないか?」




と思ったのです。




これまで30年以上生きてきて



自分の飲み物の上に虫が浮いていることは数え切れないくらいありましたが


「ふざけんなよ」とイラだったことはあっても


「この虫、大丈夫か?」と虫の安否を心配することは、たったの一度もありませんでした。


でも、このとき、


僕は生まれて虫の立場に立つことができたのであり、



つまりは、初めて自分の欲望よりも、虫の欲望を優先できたのであり、


その様子をブッダが見ていたのだとしたら


「彼は、どんどん私に近づいてくるなあ」


と感心していたと思います。



それで僕は、りんごジュースの中から虫を取り出して



タンカに見たてた紙ナプキンの上にそっと置いてみたわけです。



全身りんごジュースだらけになって身動きとれなくなっていた虫ですが



しばらくすると、ピクッと足を動かしました。



「ま、まだ息がある……っ!」



興奮して見ていると、虫は体をゆすりながらりんごジュースを跳ね飛ばし



そして空に向かって飛び立っていったのです。



去り際に空から



「水野さん、ありがとう」



という虫の声が聞こえた気がしました。







――さて、




あれから3年の月日が経った、昨日、





再び





テレレレッテッテレー♪





というレベルアップ音が脳内で再生されたのです。





自宅の近くの薬局をうろついていたところ




とんでもないものが売っていました。




それは




「テンガ」



でした。



「テンガ(TENGA)」というのはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが




男性が使う1人H用の道具です。




そんないかがわしいものが、




普通に薬局に売っていたのです。



「どこまで進出してきとるんだ」



と空いた口が塞がらなかったですが




正直、買ったことも無ければ使ったこともないので(ホントです)




一応、なんていうか、



クリエーターとしての? インプットってやつですか?




ま、使い方としては、アウトプットがメインなわけですけど




とりあえず、買うべきだと思ったわけです。




ただ、





実際、行動に移そうとするとめちゃくちゃハードル高いわけですよ。





いや、これがいかがわしいグッズばかりを扱った店だったら大丈夫なわけです。




周囲にいる人たちもそういう物を求めて来ている人たちですから




まあ、そういうグッズを買っても「まあそうだよね」みたいなことになるじゃないですか。




でもここは薬局なわけです。



しかも、どちらかというと薬局ではなくてドラッグストアなんです。



北川景子とかのポスターが表にでかでかと飾ってあるような店なんですよ。




そんな店で一人H用の道具を買うっていうのは、




過去に幾度となくそれ系のブツを購入してきた僕にとっても




最大の難関と呼べる状況にありました。





「どうすればいいんだろう……」




そう頭を抱え始めた、その瞬間の出来事でした。






テレレレッテッテレー♪






脳内で、あの、レベルアップ音が再生されたのです。






僕はこのとき、こんなことを考えたのでした。







「自分ほどの上級者ですらテンガを買うのがこんなに恥ずかしいんだったら、他の人はもっと恥ずかしいのではないか?」





つまり、僕は、ここで、自分のためだけに1個を購入するのではなく、





「友人やアシスタントたちの分も購入してはどうか?」




と考えたのです。





1つ買うのでも恥ずかしいのに、「これを大量に買ったらどうなるか?」という逆転の発想。



これは、他の人に対する愛、決定的な愛がなければ生まれません。




しかも、この発想の素晴らしさはそれだけに留まりませんでした。




もしテンガを1つだけ買ったとしたら



それはもう誰の目から見ても



「あ、こいつ、部屋でシコシコするんだな」



となりますが、




もし、大量購入した場合




そもそも、そんなものを1人で大量購入するというのは普通ではあり得ませんから



周囲から見ると




「会社のイベントで使うんじゃないか」とか



「商品をリサーチするために買うんじゃないか」という




「業務感」が出てくるので




恥ずかしさが半減するのではないかと考えました。




正直、この発想には自分でもシビレました。





自分はもうそろそろブッダ(目覚めた者)を名乗る時期に来てるんじゃないかと思いました。






こうして興奮した僕は、入口のカゴを持って来て





テンガを6個入れて意気揚々とレジに向かったんですけど、













これが死ぬほど恥ずかしかったんですよ。











いや、





これよくよく考えたら当たり前の話だったんですけど






6個もテンガをレジの前に置いたら





まず、単純に目立つんですよ。





隣のレジの店員とかも、そのレジに並んでいる客とかも




チラチラこっち見てくるわけです。





冷静に考えたら確実に予想できた事態を、自分の発想に酔い過ぎて完全に見落としていたんです。




しかも、僕のレジの店員が気を利かしてきたのか知らんけど




普通のビニール袋にさっさとテンガを全部突っ込めばいいのに、




「他人に見られるのを防ぐために気を使ってますよ」的な茶色の紙袋みたいなのを取り出してきて




テンガをその紙袋に入れようとするのですが





それがちっさい紙袋で




1個づつしか入らないわけです。





で、いちいちその紙袋をセロハンテープとかでとめやがるんですよ。




それで6個の紙袋を作られる間、ずっと





「ああ、もう、そのテープいらんから!」





と地団駄を踏み続けることになりました。






で、作った紙袋6個を、結局大きな1個のビニール袋に入れられて
(しかも、そのビニール袋、結構濃い黄色だったし!)





それ持って薬局を出るころには





精神も体も憔悴しきっていました。






そして僕は、




ふらふらとした足取りで




自宅に向かって歩き出したのですが、






その道のりで、ふと、こんなことを思ったのです。






3年前に、りんごジュースから救出したあの小さい虫は、




僕のテーブルから飛び去った後どうなったんだろう……。




もしかしたら、あの虫は、




そのまま他の客のテーブルの上にあるりんごジュースの中にダイブしたのではないだろうか――。




つまりは、




テレレレッテッテレー♪




は、僕の単なる幻聴で





僕が人間として成長した瞬間など存在していなくて――。







なぜなら、







そもそも友人やアシスタントたちに配るために大量購入したはずのテンガなのに








すでに、6回分のオカズを考え始めている僕がいるのだから―――。














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No title

ブッダのくだりがツボでしたw
セーブが消えたときのあの音が流れるときなんてのも、やっぱりあるのでしょうか?
新刊情報
2年半ぶりの新刊です。
「人生で大切な4つのこと」が楽しく学べる本です。増刷決まりました!
プロフィール

mizunokeiya

Author:mizunokeiya
はじめまして。
水野敬也です。
著作は「夢をかなえるゾウ」、「ウケる技術」、「雨の日も、晴れ男」、「『美女と野獣』の野獣になる方法」、「大金星」。DVD作品「温厚な上司の怒らせ方」の企画・脚本も担当しました。
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