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タイト事件



思えば、「タイト」という言葉に振り回され続けてきた人生でした――。





服屋で試着して



(ちょっと小さいかな……)



と感じた時



「これのLありますか?」



と聞くと



「Lの在庫ないんですよ」



と答えた店員さんは、決まってこの一言を付け加えてきます。




「でもお客さん、これはタイトに着るのが今年風ですから」




そのとき僕はこう思うのです。



(そうか、タイトに着るのが今年風なのか――)



ファッション上級者にのみ許された「タイト」という甘美な響き。


そんな「タイト」が今日もまた僕を誘惑する。




そしていつしか催眠術にかかったかのようにこう口にしているのです。




「この服――ください」




そして、数時間後、


自宅の鏡の前で明らかにサイズの小さい服に体を締めつけられながら、もだえ苦しむ僕がいるのでした。






こうして僕は服を買いに行く時はいつしか




服を見るのではなく



店員さんを見るようになっていました。



この店員さんの言っていることは真実なのか?



また嘘をついて僕に服を買わそうとしているのではないか?



そうした疑心暗鬼に囚われながらも、誠実な店員さんを探し求め、



そして、ついに、僕は出会ったのでした。




渋谷のお店で出会った彼は――Yさんは――いつも正しく僕を導いてくれました。



「似合わない」時ははっきりと「似合わない」と言ってくれました。


セールの日が近づくと、「あとちょっとでセールだからその日まで待った方がいい」と教えてくれました。



また、彼が勧めてくるものは、一見カッコイイと思えないものでも



着てみると予想以上にカッコ良く見えるものばかりでした。



いつしか僕とYさんと携帯電話の番号を交換し、


店員と客の関係を超えた絆が生まれるようになったのです。




―――そんな、夏の足音が聞こえ始めたある日の出来事でした。



この日も僕はYさんのお店で、Yさんに勧められるままに服を試着していました。



Yさんは言いました。



「いやあ、このTシャツ、マァジカッコいいっすよね~」(Yさんの口調はこんな感じです)




Yさんがカッコイイと言うならカッコイイに違いない、そう思いながら鏡に映る自分を見ていました。



ただ、そのとき、僕は思ったのです。



(ちょっとキツいな)



そして僕はYさんにたずねました。



「ちなみに、これLありますか?」




するとYさんは答えました。




「あ、L無いんすよ~」





しかし、そのあとYさんのセリフに僕は耳を疑いました。




Yさんはこう言ったのです。





「でもこれマリン系なんで絶対タイトに着た方がいいっすよ~」




(Yさん、まさか――)



僕は――震える顔をYさんに向けました。



(まさか――あなたも――)




しかし、数秒後。


一瞬でもYさんを疑った自分の小ささを恥じました。


僕の目に映っていたのは


服と真剣に向き合っているYさんの凛々しい表情だったのです。



こうして、僕の不安は希望に変わりました。



ついに、待ち望んだこの日が、来たのだ。



僕がタイトを着こなす日が。



気づいた時には、



僕は精一杯の笑顔をYさんに向けてこう言っていました。






「これ、下さい!」





それから僕は自宅に戻り



Yさんから勧めてもらったTシャツを鏡の前で着てみたところ、あることに気づきました。












ウケる日記


わき毛がめっちゃ出てるんですよ












でも――。



僕は自分に言い聞かせました。



あのYさんが、僕にウソをついて服を買わせるはずがない。






だとすれば、





間違っているのは、服のサイズではなく、むしろ――。









ウケる日記


Yさん、こういうことですよね?








これで、僕、今年の夏はタイトで決めれるんですよね――?

























(おすすめ)





ウケる日記


「憂鬱でなければ仕事じゃない」

見城さんと藤田さんの共著です。

発売されてからすぐに読みましたがめっちゃ面白かったです。

やはり、今を活躍されている人たちの言葉を読む時は緊張感が高まりますね。
藤田さんと見城さんのキャラクターが全然違うので同じテーマを語るときも
違って見えて読み物としても楽しかったですし、実用性も高くてすぐに仕事に生かせる内容ばかりでした。素晴らしい!



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「ハッピー・ハートの方程式」

桃華絵里さんとは、僕が恋愛体育教師・水野愛也でテレビに出たときに共演させて頂きました。
普段の生活ではまったく縁のないジャンルの方とお会いするのは面白いですね。
本の内容も色々な意味で刺激になりました。おすすめです!



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「さりげな教習所」~会社編~

「さりげな教習所」~恋愛編~

友人の放送作家のつじさんが「温厚な上司の怒らせ方的なDVD出したから見て」
と言われて見たのですが、予想外に(すみません!)面白かったです。

やっぱりこの手のハウツーDVDは教授役のポジションがかなり大事だと思うのですが
めちゃくちゃイイ味出してましたね。
胡散臭いけど、妙に自信があるというか、こんな逸材どこで見つけてきたんだろう。






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新刊情報
2年半ぶりの新刊です。
「人生で大切な4つのこと」が楽しく学べる本です。増刷決まりました!
プロフィール

Author:mizunokeiya
はじめまして。
水野敬也です。
著作は「夢をかなえるゾウ」、「ウケる技術」、「雨の日も、晴れ男」、「『美女と野獣』の野獣になる方法」、「大金星」。DVD作品「温厚な上司の怒らせ方」の企画・脚本も担当しました。
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