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愛を打つ

麻薬で逮捕される人を見ると

もったいないな

と思います。

何かの研究で読んだのですが、まさに「脳内麻薬」という言葉どおり、人間は薬を使わずとも色んな形で快楽を生み出すことができると言われており

そしてその中でも、何の法的リスクもない健全な麻薬というのは「愛」だと思うのです。

この点に関しては、道徳教育や宗教の弊害があると思うのですが、愛というのは今の社会では「しなければならないもの」という風に「上から押し付けられる」ことによって多くの人の中で拒絶反応が生まれてしまっています。

しかし、本来、愛というのは人間にとって「単なる快楽」で

確か小学2年生のときだったと思うのですが、僕は小さな猫を拾ってきて密かに育てていたのですが、最初は「シャー!」とか歯をむき出しにして威嚇してきたのですが、毎日餌をあげていたらその子猫がのそのそと僕の膝の上に乗ってゴロゴロと喉を鳴らし始めたときの快感はとんでもなくて、
というか、僕、そのとき勃起したんですよね。
だから、それ以来、学校の先生や親が言う愛というものとは違った解釈をするようになりました。

だから、今も「麻薬」も「セックス」も「愛」も脳みその同じような場所で「これは気持ちいいもんだ」と判断してるんじゃないかなという思いがあります。

だから、老人に席を譲ったり、友達を助けるという、一般的に「善いことをする」行為は

「ヤクを打つ」に掛けて「愛を打つ」と表現したら良いんじゃないかと思います。

そして、僕の中には

いつかこんな愛を打ってみたい

と憧れ続けてきた「上物」がありました。

それが



●シャウト愛



です。

そもそも人間は「叫ぶ」という行為に対して非常に大きな快感を感じる生物ですが

さらに、そこに「愛」を組み合わせたらそれは相当な快感になるんじゃないかと思い、何度も空想しては「ええなぁ」と恍惚感に浸ってきました。

ちなみに、この「シャウト愛」を具体的に言うと

飛行機の中で人が倒れたときにFAの人が


「この中でお医者様はいらっしゃいますかぁ!」


とシャウトするアレであり、アレを叫んでいるときのFAの人は、もちろん緊張や不安を感じているとは思いますが後から振り返って「うわあ、あんとき私、やったったわ」とすげー気持ちよくなり、それをオカズにして一人Hできるレベルの興奮だと思うのです。

そんなことを考えながら日々生きていたのですが、


なんと、今日、


僕はついに「シャウト愛を打つ」機会に恵まれたのでした。


チャンス、というのは常に、自分の思いもよらなかった方向から現れるものです。


僕としても「シャウト愛」を行うのは、「機内」「山や海」「銀行」などを想像していたのですが


現実にシャウト愛を打つことができたのは、



●立ち食い蕎麦屋



でした。


僕はつい先ほど

立ち食い蕎麦屋に入って食券を買おうと機械の前に立ったのですが

食券が出てくる場所に小銭が転がっていたのです。


580円くらいだったと思います。


そのお金を見て僕は即座に、前のお客さんがお釣りを取り忘れそのままにしておいたから

機械が自動的にお釣りを外に吐き出したということに気づきました。

ただ、このとき僕は、これが「シャウト愛」に発展するとは思っておらず、

お釣りを店員に渡すという「お金落ちてましたよ愛」になるのかなと思いました。

だがそのとき


「待て、ケイヤ」


と心の中で声がしたのです。


耳を澄ますと、その声は僕の心の奥に居る、パンクロッカー風の、腕に注射の跡が何本もある、観音菩薩でした。

菩薩はマイクに向かって叫びました。。


「イフ、機転の利かない店員だったら、その場でお釣りを渡さないかもしれないゼェェェ!」


(た、確かに!)


僕は菩薩の言葉にうなずきました。

もし、僕がお釣りを渡した店員がそのままカウンターに置いたままにしたら、そのお釣りが持ち主のところに戻ることはないでしょう。後になって「お釣りを取り忘れたんですけど……」と申し出るお客さんがいるとは思えないのえす。

そこで僕は店員に渡すのではなく、直接店内のお客さんに聞いて回ってはどうかと考えました。

しかし、また、菩薩が叫んだのです。


「お客さんは、ウソをつくかもしれないゼェェェ!」


(な、なるほど)


僕は菩薩の言葉に膝を叩きました。

お釣りを取り忘れた人は、蕎麦屋のカウンターの前で蕎麦ができあがるのを待っている人の中にいると思われますが
ただ、僕が「あなた、お釣り忘れてませんか?」と聞いて「あ、ああ、すみません」と受け取られても、実際にその人かどうかは分かりません。というか、一人一人に「あなたのお釣りじゃないですか?」と聞くと「もしかしたら自分かも」と思って、誤って受け取ってしまう人が出るんじゃないかと思ったのです。

菩薩は、エレキギターをかき鳴らしながら叫びました。


「叫ぶんだゼェェェェ! この店内で、ありったけの声で、愛を叫ぶんだゼェェェェェイエェェェェェイ!」


僕の体が震えだしました。

武者震いでした。

夢にまで見た、シャウト愛を、ついに――打つときが――来たのです。


そして、僕は―――


立ち食い蕎麦屋の狭い店内で、声高に叫びました。




「だ、誰か、お釣り忘れてませんかぁ!」





すると、

行列の後ろから2番目にいた女性が


「あ……」


と言って前に進み出ました。

その雰囲気から

(間違いなくこの人だ!)

と確信した僕は、その女性にお釣りを手渡したのです。

そのとき感じた快感。

それはそれは相当なものでした。

この状況でシャウトできる者が日本に何人いるだろうか。

仮に、救急救命士の資格を持っている人でも、ここでのシャウトは相当ハードルが高いはずだ。


しかし、俺はやった。


そのハードルを乗り越えて、あるべき場所に小銭を戻すという愛を、打ったのだ!


押し寄せる快感の波に身をゆだねながら、

僕は蕎麦のカウンターの前にある、食券置き場に「とろろ蕎麦」と「大盛り」券をカウンターに差し出そうとしたときでした。


突然、列に並んでいた60歳ぐらいのじいさんが叫んだのです。




「並んどるぞ!」




一瞬、何が起きたか分かりませんでした。

ただ、僕が声のする方に目を向けると、

そのおじいさんは完全に僕を睨みつけているのです。

(一体どういうことだ――?)

混乱しながらも、状況を観察してみたところ、僕はなぜ自分が怒鳴られたかが分かりました。


本来であれば、

この立ち食い蕎麦屋のシステムは、

まず最初にカウンターに食券を置き、それから列に並んで自分の蕎麦ができるのを待つ

というものです。

しかし、時間がちょうど昼時だったので、カウンターの上に食券が置き切れなくなっており、多くの人は手に食券を持って並んでいる状態なのでした。

だから、直接カウンターに食券を置きにいった僕は、そのおじいさんから見たら「横入り」に見えたのであり、

つまり、完全に僕が悪いのですが、




僕はこのじじいにめっちゃ腹が立ったんですよ。

もう、ほんとこいつブン殴ったろかっていうくらい腹が立ったんですよね。


え? お前、さっきの俺のシャウト聞いてなかった?

俺は、小銭をネコババすることだってできたのにもかかわらず、それをあえて「シャウト」という勇気のいる手段を使って持ち主のところに返した英雄だぜ?

その英雄に向かって何をダメ出ししてくれてんのじゃ! 

しかも公衆の面前で!

「あらら、この人、さっきカッコつけて何か叫んでたけど、ダメ出しされちゃってんじゃないのw」ってみんなから思われてるだろうが、ボケェ!



――そんなことを考え怒りに震えながら、僕は仕方なく行列の最後尾に並びました。


しかし、そのとき


僕は、あることに気づいたのです。



これって、もしかして―――





愛の『副作用』じゃね?





シャウト愛を打ったことによって、僕の中では「素晴らしい人間である」という誇りが高まった。


そして、高まった誇りは、じじいのダメ出しによって、通常よりも落ちる落差が大きくなったというわけです。



光ある場所に、闇あり―――。




「やっぱり、麻薬と愛は、同じものなのかもしれないな……」


そんなことを考えながら、僕はとろろ蕎麦をすすったのでした。










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求む!「極道に勝つオタク」

昨日、浅草の三社祭に行ってきたのですが、

日本の「祭り」の持つエネルギーのすごさに感動しているとき、ふと今の日本に必要なイベントを思いつきました。

それは

「三社祭的アニメ祭り」

です。


その内容を一言で言えば

まどかマギカのフィギュアが乗った神輿や、神輿に見立てたガンダムのホワイトベースやワンピースのゴーイングメリー号を、オタクの人たちが、オタ芸的な動きを繰り出しながら

「ワッショイ!ワッショイ!(この掛け声も違う言葉になるかもしれません)」

と叫んで神輿をかつぐという、日本古来の伝統の系譜の中にアニメ要素をふんだんに盛り込んだお祭りを開くというものです。

もちろんそこにはお祭りの基本である「神」とアニメの関係性を考える必要があり、ただ騒ぐだけではなく、なぜそのお祭りを開いているのかという詳細は考えられるべきですが

何より重要なのは、オタクではない一般人を――可能であれば50代以上の高齢者を巻き込んだ「日本の伝統」を作るということです。

そういう意味では、過去のアニメ(特に手塚作品が良いと思うのですが)「鉄腕アトム」や「火の鳥」をベースにした神輿もあった方がいいと思います。

それができれば、閉塞感のある日本にとってうれしいニュースになるし、観光客もたくさん来るし、何よりすごく楽しいと思います。

そんなことを考えながら三社祭を見ていたのですが、この「アニメ祭り」を実現する上で最大の問題になるのは、

「オタク」の皆さんのメンタリティになるのではないかと思いました。

僕自身も、幕張で開かれた同人やコスプレの集まりに参加してみたことがあるのですが、そのとき思ったのは

オタクの人たちというのは、極めて礼儀正しいのですが(人気漫画を買うために、ピシッと3列に一糸乱れぬ隊列を組み、スタッフの誘導に従っていたのは感動しました)

同時に、

こういっては本当に失礼なのですが、

「追いやられた側」の人間であるということでした。

僕自身も、中学高校の6年間をゲームセンターと漫画喫茶に捧げたので分かるのですが、

青春をゲーム・漫画に捧げる人は、純粋にそのジャンルが好きだからそこにいるというわけではなく、

何らかの形でメインストリームから外れた、というケースがほとんどです。

というより、文化的なものすべてにそういった側面があるのですが

スノボのオリンピック代表の成田童夢などの例外はありながらも、

小学校の頃から、運動ができたりケンカが強くて女の子にもモテた人がオタクになるというケースは稀です。

なぜなら、ゲームもマンガも、

「今の自分ではない、何者かになれる」

をテーマとしており

根底にあるのは「弱者救済」だからです。

だからメインの消費者は、心の中に強い「弱さ」を持った者たちです。


対して、三社祭りを仕切っている人たちはどういう人か。

これは「強者」です。

小学校のとき、運動ができて、ケンカが強かった連中が、祭りを主宰し、仕切っています。

実際、三社祭りを見たことがある人なら分かると思いますが、神輿を担いでいる人たちは、まず単純に「怖い」です。

観光客たちに対して有無を言わせない威厳があります。

だからこそ、あれほど巨大な祭りを成立させることができています。


そして、強者ではないオタクの人が主催する現状の祭りは、「閉じられた世界」で開かれる同好会的な集まりにとどまってしまうことが多いと思います。


しかし、それが残念で残念でなりません。


たしかにお祭りは「興行」であり、多くのトラブルが発生するでしょう。事故やケンカはもちろんのこと、暴力団がらみの事件も発生するでしょう。

でも、

真に漫画やアニメのキャラクターを愛しているのなら、

コスプレ衣装を身をまとい外見を真似るるだけでなく

そのハートを、勇気こそを、自分と同一化させるべきです。


怖いからという理由で、


アムロ・レイが、

孫悟空が、

モンキー・D・ルフィが


暴力団に屈するわけにはいかないのです。



この「アニメ祭り」の成功には、現実逃避としての機能を果たしていた漫画が、読者に対して、現実の社会の真ん中に攻め戻る勇気を与える意味があると思います。


多くの「強いオタク」が立ち上がり、


クールジャパンではなく、ヒートジャパンが、世界を席巻する日が来ることを心から願っています。
















宇宙五輪

「さあ、注目の200m走が始まろうとしています。
第1コースはウサイン・ボルト。『サンダー・ボルト』の異名を持ち、人類最速、19秒19の記録保持者です。しかしボルト、緊張しているのか額の汗を何度もぬぐっています。そしてボルトの隣、冷静な表情をしているのが第2コースのエラルド・ゴーリキ。身長は4m88㎝。青色の肌に細長い腕と足が特徴の、銀河87系のオーグル星人です――




$水野敬也オフィシャルブログ「ウケる日記」Powered by Ameba-宇宙五輪01
イラスト 羽賀翔一


「――スタートしました! 
まず最初に出たのはウラン星人! 12本の足をまるで車輪のようにしてトラックを突き進んで行きます! しかし、その横、ミーバ星人のしなやかな身体が伸びていく! 軟体であることを利用して体の一部を先へ飛ばす走法です! オーグル星人も早い! 圧倒的な身体のバネを使ってものすごいスピードで進んでいきます。
そして……最下位争いは、地球人のボルトと金星人のグレイ! 
おっとグレイ転倒!グレイが転倒しました! 
――ここでも負けたのは金星人! 今大会の『黒星』は金星で確定か――」





 スクリーンの映像が消え部屋に明かりが灯された。眩しさに目を細める。
相変わらず俺の目の前にあるのは忌々しい鉄格子。その向こうには白い服を着た人間が三人いる。その中の一人の女が言った。
「今見てもらったのが前回の『宇宙五輪』の映像よ。オリンピックの金メダリストたちを派遣した地球は惨敗。もし金星が参加していなかったら『黒星』になったのは地球だったでしょうね」
 スクリーンが切り替わり、青い肌のオーグル星人が金星で殺戮を繰り返す映像が映し出された。
「『黒星』は宇宙五輪で優勝した『白星』に資源を使い尽くされる。オーグル星の支配下になった旧金星の生物の生存率は、今や1・5%以下よ」
 そして女は俺に顔を向けた。
「金星が消滅した今、次の大会で地球は確実に負けるでしょうね。――でも、『宇宙五輪』にはその星のすべての生物に参加資格があることが分かったの。だから、地球を救うためにはあなたの――チーターの力が必要なのよ」

「ふん」

 俺は鼻で笑って言った。

「お前たち人間どもは、今まで俺たち動物を好き放題殺してきやがった。それが、
自分たちの身が危険になった途端、力を貸してくれってのは虫が良すぎる話じゃねえか? ああ?」
そして俺は人間どもに牙をむいて威嚇してやったよ。
 ――しかしまあ、とんだ厄介事に巻き込まれちまったもんだぜ。俺はいつも通りサバンナでガゼルのケツを追っかけてた。あともう一歩で食らいつけるってときに、突然首に鋭い痛みが走った。麻酔弾だ。で、目を覚ましたらこの鉄格子の中にいたってわけだ。
驚いたぜ。
この頭を締め付ける小さな鉄の塊のおかげで、人間どもと話ができるようになっていたんだからな。
 それだけでも信じられねえのに、そっからの話はもう奇想天外だった。
 なんでも、宇宙では惑星同士の戦争を防ぐための平和的解決法として「ある競技大会」が存在しているらしい。
 それが『宇宙五輪』だ。
 そもそも人間どもは『宇宙五輪』はもちろんのこと、この宇宙に自分たちより優れた生物が存在しているなんて思いもよらなかった。しかしそれは人間のとんだ思い上がりで、他の惑星の生物からしたら『地球』っていうのはかなり遅れた存在だったんだ。だが、これまで地球は『宇宙遺産』に指定され、各惑星間で不可侵条約が結ばれていたから『宇宙五輪』に参加する必要はなかったんだな。それが数年前、地球は『宇宙遺産』から外されちまった。地球としても、科学技術の進んだ他の惑星と戦争しても勝ち目はねえから参加するしかなかったんだ。
 地球が初めて参加した前回の宇宙五輪は幸運にも黒星は免れたが、もうそっからはてんやわんやさ。次に開催される宇宙五輪になんとしても勝たなきゃいけねえ。そこで世界トップクラスの科学者が結集して作ったのが、今俺の頭についてる鉄の塊ってわけだ。こいつを使って俺たち動物の宇宙五輪への参加を呼び掛けるって計画らしい。
はは、傑作だぜ。
まさか俺の言葉が人間どもに伝わる日が来ることになろうとはな。俺は人間どもに向かって吠えてやったよ。

「お前たち人間が何をしたか教えてやろうか? 人間はなぁ、俺のおやじとおふくろを殺して皮を剥ぎやがった。俺の目の前でな! もしお前たちが宇宙人どもに殺されなくても、俺が代わりにお前らを殺してやるよ!」

 *

 次に気づいたとき、俺はサバンナにいた。殺されるもんだとばかり思った俺は飛び上がるくらいうれしかったね。実際飛び上がったら頭のバランスが取れなくておかしな飛び方になった。
チッ……。鉄格子は外しても頭の鉄だけは外さねえってわけか、くそっ。
 前足で思い切り鉄の塊を引っ張った。頭がもげるかと思った。岩にぶつけてみた。壊れたのは岩の方だ。さすが世界トップレベルのクオリティ、って言ってる場合じゃねえ。結局俺は連中の監視下にあるってことだ。今こうしている間にも、さっきの科学者の声が俺の頭の中に響いて来やがる。
 ああ、うるせえ! 黙ってろ! お前たちの思い通りにはならねえぞ。俺は絶対に出ねえからな! 
 ただ、何日かぶりに走るサバンナは、もう昔のような気持ち良さは感じられなかった。

「パパ!」
 巣穴に戻ると、俺の姿を見たガキたちが一斉にこっちにやってきた。
「何それ、変なの!」
 俺の頭の機械に寄ってくるガキたちに向かって吠えた。
「触るな!」
こんなもんに触ったらこいつらの身体に何が起きるか分かったもんじゃねえ。あいつらに飼われるのは俺だけで十分だ。
 俺は帰り道に仕留めたガゼルを隠した茂みへとガキたちを連れて行った。ガキたちはわあっとガゼルに食らいついた。ガキたちにとっては父親との再会よりも飯の方が大事ってわけだ。
まあそんな姿が俺を安心させるんだがな。
「あなた……」
 妻のリリが心配そうな顔で近づいてきた。
「大丈夫なの? ハイエナたちがあなたハンターに捕まったところを見たって」
笑って俺は言ったよ。
「ふん。人間なんて相変わらずノロマな連中だからな。うまく撒いてきてやったさ」
 リリは安そうな顔で俺を見ていたが、しばらくすると俺の首元に顔をうずめた。ガキたちも俺の身体にまてじゃれ始めた。
「頭のやつには触らないからね」
そう言って俺の身体に登ってこようとガキどもを前足で背中に乗せてやりながら、チッと頭の中で舌打ちをする。何度も何度も舌打ちをする。
 おい、聞いているか人間? 
 お前らには家族がいねえのか? 
 もし家族がいるんだったら、お前らの家にもこんなに可愛いやつらがいるなら、俺たち動物にも家族がいるってことくらい分かりそうなもんだろうが! それなのに、どうしてお前たちはやたらめったら動物を殺すことができるんだ!?
 
 その日の夜、俺は眠ることができなかった。イラ立ってイラ立って、頭がおかしくなりそうだった。
 親を殺されたあの日から、俺は人間が滅び去る瞬間を何度も何度も夢見てきた。それがいよいよ現実になるかもしれねえってのに――家族とサバンナをためとはいえ――俺は、宇宙五輪に出ようとしてやがる。もしこの世界に神様がいるのだとしたら、それは相当意地の悪い、たとえば人間みたいなやつなんだろうよ。
 
 俺は、リリとガキどもを起こさないようにそっと巣穴を出た。頭の中に響いてくる言葉の指示通りに進むと、停車したトラックの前に白い服の連中が立っていた。女が言った。
「宇宙五輪に参加してくれるのね」
「ああ」
 俺はそう答えながら地面に唾を吐いた。
「だが、お前たちには任せられねえ。ここ(サバンナ)は俺が仕切る」
「え?」
 俺の言葉に科学者どもが蒼ざめた。
「でも時間はもうほとんど残されてないのよ」
「じゃあこの話は無しだ」
 俺は、こいつらのやり方で他の動物を説得できるとは思えなかった。それに何より、麻酔弾とはいえ人間どもの『弾』を動物たちに撃ち込むのだけはどうしても許せねえ。
 白い服の連中は相談を始め、途中言い合いにまでなっていたが、結局折れた。
 女は言った。
「……あなたに任せるわ」
「ふん。賢明な判断だ」
 俺はそのまま背を向けて歩き出した。



(確か、このあたりだったはずだ……)
乾期のサバンナでは小さな水源を求めて動物たちが集まってくる。きっとやつらもこのあたりにいるはずだった。俺は沼地に足を取られないように慎重に足を忍ばせていった。
「よお」
 俺が話しかけるとそいつは巨体を立ち上がらせて俺をにらみつけてきた。そして空に向かって吠えた。その声を聞いた仲間たちも起き上がってくる。

「何の用だ?」

 他の中と比べて一回り身体のでかいやつが現れた。こいつが群れのボスだ。警戒しているな。ま、そりゃそうだろう。こいつらの仲間を一頭殺るために10の仲間と陣形を組むこともある。それくらい力のあるやつだ――ゾウってのは。

「力を貸して欲しい。この星のためだ」

 ――これは賭けだった。ゾウってのはサバンナの動物の中でも特に賢い。他の動物たちを襲わないどころか守ることすらある。こいつを説得することができれば、多くの動物たちを味方にすることができるかもしれない。
 俺は、俺なりに言葉を選びながら、一部始終を話した。
 ゾウは相変わらずの思慮深い目で俺を見ていた。サバンナの生暖かい風が俺毛を揺らしていた。ゾウは言った。

「私は何をすればいい?」 

 ホッと胸をなでおろして俺は言った。

「その競技には石を投げるものがあるらい。確か、これくらいの石だ」

 俺がダチョウの卵くらいの大きさの石を前足で転がした。ゾウはその石を鼻で
つまみ上げ遠心力を使うと空に向かって放り投げた。石はまるで羽のついた鳥ように森の上空へ消えていった。
「文句なし、だな」
 俺が友好の証として前足を差し出すとゾウは長い鼻を伸ばしたが、俺の足の手前でスッとかわして言った。
「条件がある」

 *
 
 まいったぜ。まさにゾウの群れの用心棒になって子ゾウのお守りをさせられることになるとはな。こりゃ地球がなんとかなったって俺の身体がどうにかなっちまうぞ。
 だが、ゾウの群れのボス、ズーラを説得できたのは大きかった。他の動物たちも、こいつの話なら聞いてくれるだろう。
 ――そしてズーラは、時に吠えるように、また、時に諭すような口調で説得を続け、予想もできなかった動物たちを引き入れていった。
 もちろん全部の動物が応じたわけじゃない。特にシマウマを説得できなかったのは痛かった。俺の得意なのはあくまで短距離。中距離以上であの連中にかなうやつはいないだろう。ただ、俺たちはウマを食い過ぎた。俺たちが人間を憎むように、ウマは俺たちを憎んでいた。

「連れてきたぜ」
指示された場所にサバンナの動物たちを連れていくと、そこには巨大なトラックが何台も止まっていた。白い服の女は俺に向かって言った。
「ありがとう」
 俺はそいつの目の前で唾を吐いてやった。
「礼なんて言う暇があったら、とっとと俺たちを敵の前に案内しやがれ。俺たちの望みはな、できるだけ早くこのクソ競技にけりをつけてサバンナに戻ってくることだけだ」







「さあ、宇宙最大の祭典『宇宙五輪』が開幕しました! 今大会の注目は太陽系の『地球』! 多くの星が地球の支配権を手に入れようと今年の五輪に力を入れてきています。しかし、地球陣営も負けてはいません。前回大会は食物連鎖の頂点に君臨していたホモサピエンスのみの出場でしたが、今回は地球最強の『動物』たちが参戦してきたのです!

 ――それではいよいよ200m走、選手が出揃いました。スタートです! 
最初に飛び出たのはウラン星人! いつもの車輪走行で先頭を切ります! そしてその横を追撃するのが緑色の細い身体はミーバ星人……いや、違う!チーターです!地球のチーターが駆け抜けて行きます!

 ものすごいスピードだ!!!

 ミーバ星人をあっさりとかわす黄金の一閃! その姿はまるで稲妻のよう!
 





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ぐんぐん伸びていくサンダー・チーター! 後続を引き離しゴール! 

タイムは……6秒23! 

出ました! 宇宙新記録! 200m宇宙新記録が出ました!
 


……おっとここで新たな情報が。各会場でも地球勢が健闘しているようです。『投石』では、『アフリカゾウ』が7キロの石を58m飛ばして2位につけています! さらに驚くべきはフットボール! 地球の『アメリカンフットボール』に近いこの競技ですが、前回大会で地球は初戦で10名の負傷者と8名の死者を出し惨敗。しかし今大会は優勝候補のラドン星人相手に一歩も引いていません。身体の80%以上が鉄に覆われているラドン星人。まさに鉄壁が地球勢に押し寄せていきます。しかし……食い止めた! 食い止めたのは『サイ』です! フォワードの『サイ』が一歩も引かず角でラドン星人を止めている! そしてその間に、ボールを持った『ゴリラ』がボールを投げます! ゴリラの握力は約1t! とてつもないスピードで相手陣地に飛んでいく――が、高い! 高すぎる!これは明らかにミス……いや取りました! ボールをは『キリン』です!キリンは口でキャッチしたボールを持ってそのままタッチダウゥゥン!」

 



 地球陣営の控室は動物たちの咆哮で沸いていた。まあ前回大会で地球勢が手も足も出なかった種目で勝利を収めていったわけだからな。盛り上がるのも無理もない話だ。
 だが、浮かれていられるのは事情を知らない動物たちだけだった。まだこの時点では地球は総合ポイントで最下位になる可能性が残されていたからだ。
 ――もし、地球が、地球上のすべての生物を宇宙五輪に参加させられていたなら、最下位を免れるどころか上位に食い込むことができただろう。
 宇宙五輪には陸上競技以外にも、水中競技、空中競技が存在する。グンカンドリの長距離飛行、ハヤブサの降下飛行、カジキの水中走、シャチの水球、そのどれもが優勝候補だった。
 しかし、人間は説得に失敗した。これまでに作られてきた人間と動物の間の溝はあまりにも深く、そして何よりも、人間の動物に対する尊敬が少なすぎた。

 ああ、忌々しい人間どもめ!
 何が『地球を救う』だ。何が『絶滅危惧種』だ!
 そんなことをホザく前に、カジキよりも速く泳げるようになれ! 俺より速く走れるようになってみやがれ! そうすれば俺たちが進んで来た道のり――進化の偉大さが――身に染みてわかるだろうよ!

 しかし相変わらず人間は『運』だけは持っていやがった。
 今回、人間は『イルカ』『アザラシ』『オットセイ』『ラッコ』を宇宙五輪に参加させることに成功していたんだ。そして『イルカ』が陣頭指揮を執った異種混合の『シンクロナイズドスイミング』の完成度は極めて高かった。この競技で3位までに入賞することができれば地球は最下位を免れることができる計算だ。


 そしていよいよ『シンクロナイズドスイミング』の時間がやってきた。人間の作ったクラシック音楽に合わせて動物たちが一糸乱れぬ演技を披露し始めた。
(よし! よし!)
 イルカたちが大技を決めるたびに俺はガッツポーズを取った。まったくと言っていいほどミスはなかった。音楽が鳴り止むのと同時に、全員が動きをピタリと合わせて最後の演技を締めた。会場で巻き起こるスタンディングオベーション。動物たちもその声援に応えた。控室にいた俺たちも抱き合って喜んだ。「やった! 俺たちは地球を守ったぞ!」



「4位ってどういうことだ……」
 審査結果を見て俺は愕然とした。明らかに地球の演技はずば抜けていた。優勝してもおかしくない演技だったはずだ。
 白い服の女が言った。 
「もしかしたら、審査員の中に地球を黒星にしたい惑星の生物がいたのかもしれない……」
「畜生!」
 俺は部屋の壁を思い切り蹴飛ばした。
何が宇宙だ! ふざけるんじゃねえぞ!結局どの星にいるやつらも、人間みたいに身勝手な連中ってわけか!
 俺は怒りが収まるまで壁を蹴り続け、そして大きく息を吐いて言った。


「俺は、『ファイナル・ラン』に出る」


『ファイナル・ラン』はその名前の通り、宇宙五輪を締めくくる最後の競技だ。宇宙五輪の開催惑星を100キロメートル、給水無しで横断する最も過酷な競技。ポイントも一番高い。そして、宇宙五輪の終幕祭としての意味合いもあるファイナル・ランは、競技参加者であれば何名でもエントリーすることが認められていた。
「でも、あなたの身体は……」
「黙ってろ!」
 女の言葉を咆哮で遮った。
 
 俺は、自分の脚のことは誰よりも知っている。ガゼルやインパラを追いかけるための俺の脚は超短距離向きだ。全力で走ると全身が燃えているように熱くなる。それは俺の身体が悲鳴を上げているサインだ。

 それがどうした?
 
 お前たち人間どもには分かるまい。俺たちと人間との決定的な違い、それは「死」に対する覚悟だ。俺たちは毎日を死と隣り合わせに生きている。もし、少しでも可能性があるのなら、命を捨ててでも俺たちは挑まなければならない。
 俺がファイナル・ランへの出場を宣言すると、ゾウもキリンも他の動物たちもエントリーを決めた。
 そうだ。それでこそ「動物」だ。俺たちはお互いに手を取り合い勝利を誓った。
 「俺たちの星は、俺たち動物が守るんだ」
 




 「――いよいよ宇宙五輪も最後の競技になりました!『ファイナル・ラン』は今大会開催惑星のルーン星を舞台に100キロ走破を目指します。
 さあ、スタート地点には各惑星の選手たちが入り乱れております! そして……高らかにスタートの合図が響き渡ります! まず最初に飛び出したのは半人半獣のエルド星人! 宇宙屈指の長距離走巧者です! そしてその後に続くのが……地球勢だ! なんと短距離の覇者チーターがファイナル・ランに参加しているぞ。さらに続くのは、キリン、そしてゾウ。地球勢ここで一気に勝負を懸けてきた!」


 *

 熱い。身体が燃えるように熱い。
だが、何の問題もない。
前を走るあのエルド星人。あいつにずっとついていけばいい。
何キロでも、何十キロでも、何百キロでもついていってやる。
俺は倒れない、絶対に。俺のガキどもはまだサバンナの高原を走り回ったことすらないんだ。あいつらが生きていくために教えなければならないことがたくさんある。俺は倒れない。倒れるわけにはいかないんだ……。

 ――そこで俺は目を覚ました。

 どういうことだ? 俺は眠っていたのか? 
飛び起きようとするが全身が鉛のように重い。俺はベッドの上に横たわっていた。
「お前はレースの途中で気を失ったのだ」
 すぐ隣にゾウのズーラの巨体が見えた。ズーラは言った。
「私がお前を運んだ。人間の救助が間に合いそうになかったからな」
「レースはどうなった?」
 俺がたずねるとズーラは言った。
「レースはまだ終わっていない」
 俺はズーラの言葉を聞くと全身の毛が逆立つような怒りを覚えた。
「ふざけるんじゃねえ!」
 怒り狂った俺は、ズーラの喉元に噛みついた。ズーラの喉から血が流れ出した。
 「俺が死のうが生きようがそんなことはどうだっていい! どうしてお前がここにいる? どうしてレースを続けてねえんだ!?」
 するとズーラは澄んだ瞳で言った。
「もともと私たちの身体は、長距離を走るのには適していない」
「それがどうした!? 」
 俺の怒りは収まらなかった。
「そんなことは端っから分かってんだよ! でも、俺たちがやらなきゃ誰が地
球を守るっていうんだ!」
 そして俺は「畜生! 畜生!」と言いながら何度も床を叩いた。そんな俺の背中にズーラの声がかけられた。
「まだ勝負は終わっていないぞ」
 そしてズーラはテレビモニターに視線を移した。俺はゆっくりと顔を上げた。

『ファイナル・ラン』の先頭を走るのはエルド星人。そこから距離を置いて数人の選手が第2集団を作っている。

(な、なんだと……)

 そこで俺は驚くべきものを見た。
 第2集団の中に地球の選手がいたのだ。
 
 しかもそいつは――人間だった。

「どういうことだ――」
「地球で長距離走が最も速い動物は人間なのだ」
「そ、そんなわけねえだろう!」
「本当だ」
 そしてズーラはモニターを見上げて言った。
「なぜ、すべての動物で人間の肌にだけ毛が生えていないのか。それは、皮膚から熱を逃がすことができるように進化したからなのだ」
「ふ、ふざけるな!」
 俺は再びズーラに食らいつかんばかりに叫んだ。
「じゃあ何だ? 人間どもは持久力を高めるために毛皮を捨てて、肌寒くなったからって俺たちを殺して毛皮を奪うってか!?  そんなバカな話があるか!ふざけるんじゃねえぞ!」
 ズーラは、テレビモニターの中で走り続ける人間を見つめながら冷静な口調で言った。
「憎いか、人間が」
「当たりめえだろ! こいつらは、自分勝手な都合で動物を殺し続ける最低のクソ野郎どもだ!お前だって人間を憎んでるだろうが!」
「ああ」
 ズーラは小さくうなずくと言った。
「だが、チーターよ」
 ズーラは俺を諭すように言った。 
「人間もまた、私たちと同じ、地球という大地から生まれた動物なのだ。そして彼は今、地球を守るために、たった一人の戦いを続けている」
 俺は、テレビモニターに目を向けた。
 その中では、身体に毛も持たない、脆弱な身体をした一匹の人間が、後ろ足だけの間抜けな走り方で必死に手足を動かしていた。


 *


「さあ、エルド星人、首位をキープしたまま残り1キロ地点を通過しました! 『ファイナル・ラン』今大会の優勝もエルド星人が濃厚か! しかし2位以下は混戦。ウラン星人、オーグル星人……その中には地球人の姿もあります。ケニア出身のマカウ、苦しそうな表情だ。おっとここでオーグル星人ラストスパート! それを見て他の選手もスパートをかけた!
マカウ遅れた! 地球人遅れました! 前回大会の雪辱を果たすため大幅にタイムを縮めてきたマカウですが、ついに力尽きようとしています! これで今大会の黒星は地球で決まりか……おおっと、何だ!?  観衆たちをかきわけ、土煙を上げながらマカウと並走する集団が現れま
した! 口には旗をくわえ、身体にペイントをしている者もいます!」





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 くそっ! まさかこの俺が人間なんかを応援するハメになろうとはな。つくづく忌々しい大会だぜ、この宇宙五輪ってのはよ! 
 俺は、死にそうな顔で走る人間の横を、焦り、イラ立ち、そして藁(わら)にもすがるような思いで並走し続けた。

 ああ、人間! もっとスピードを上げねえか、バカ野郎! 

 あと少し、

 あと少しじゃねえか! 

 お前があと少し頑張れば、地球を守れるんだよ!


「ああ!」


 我慢できなくなった俺は口にくわえていた地球旗を放り投げ、人間に向かって叫んだ。ありったけの声で。


「おい! 人間! 聞こえるか!?

 俺はなあ、お前が嫌いだ! 

 俺だけじゃねえ。俺たち動物はみんなお前たちのことが嫌いだ! お前たちは今まで好き勝手に動物を殺し、地球の支配者顔してきやがったからな!

 でも、人間! お前はこのままで良いのかよ!?
 
 このまま終わっちまっていいのか?
 
 俺はなあ、お前がこんなに長く走れる脚を持っていたことを今日まで知らなかったぞ。
 
 脚だけじゃねえ。俺は、お前のことなんざ何も知らねえんだ!
 
 お前今、何のために走ってるんだ!?
 
 自分のためか? 

 家族のためか? 

 他に守るべきものがいるのか? 

 お前は何のためにこんなに苦しい思いをしてやがんだ?
 
 おい、人間! 勝って、そのことを俺たちに教えろ!

 お前たちの家族を、お前たちの生活を、お前たち人間のことを――俺たちに教えろ!

 もしお前がここで負けたらなぁ、人間と動物は何も解り合えないまま終わっちまうんだぞ!」
 

 そして俺は最後の力を振り絞って叫んだ。


「人間と動物は、まだ何も始まっちゃいねえんだ! こっからなんだよ、『俺たち』は!」


 *
 

「おおっと! 地球人のマカウ、スピードを上げた! 口を開き、顔を上げ、苦悶の表情を浮かべながら、それでもスピードを上げていく! 1位はエルド星人! 遅れて2位のウラン星人がゴールしました! さあ、3着はオーグル星人か、それとも地球人か! 熾烈な3位争いを制するのはどちらだ!?

 おおっとマカウ、出た! 

最後の最後、身体一つ分の差でオーグル星人を抜き去った! 地球人、3位入賞です! そして100キロを走り切ったマカウ、ゴールと同時に地面に倒れ込みました。その周囲に地球の動物たちが集まります。そしてマカウを背に乗せた動物たちが救助車へと向かって走り出しました――
















人生で一番大切なスキル

今週、母の日なので何を贈ろうかと考えていたときに、ふと思ったのが

過去のプレゼントに比べて今年安いものを贈ると

「あ、こいつランク下げやがったな」

と思われる「気まずさ」ってあるよなあと思いました。

そして、この気まずさを払しょくするのは、

「生きる上で一番大切なスキル」

なんじゃないかと思いました。

というのも、

こういうときに生まれる「気まずさ」こそが、多くの人から「自由」を奪っているように思えるからです。

「一度上がった生活水準は落とせない」のも「やりたいくない仕事を続けなければならない」のも、

周囲からの評価が下がることの「気まずさ」に耐えられないことが一番大きな原因だと思います。
(もし周囲の視線がなければ、ほとんどの人が収入は関係なく十分幸せになれると思うので)


ではこの気まずさを具体的にどう回避するかと言いますと


(仮に母の日のプレゼントのランクを大幅に下げ、そのことについて母親が「こいつ、ランク下げやがったな」と思っている場合)

たとえば、


「今年のプレゼントが去年のプレゼントよりかなり安くなっているこの現状について、『こいつ全然稼げてないんじゃないか?』って思っとるかもしれんけど、いや、確かに収入はゆるやかな下り坂に向かいつつあるけれど、むしろ、こうやってプレゼントのレベルを下げられる勇気?ここを評価してほしいわけ。正直、お母さんを誰よりも大切に思っとる僕にとって、この選択は断腸の思いだがね。でも、このつらさを乗り越えられず、生活水準下げれんくなってダメになってまったのが小室さんだがね」


こんなことを言うことになるでしょう(小室さんすみません)。


ポイントは2つで


1.思い切って口に出す

2.自分を卑下しない



「気まずさ」というのは、それを口に出せないからこそ相手にとってもストレスなわけで、たとえば「今日の合コンはしょぼいなぁ」と思われていたとしても

「今日の合コン、しょぼいよね」

とその場で口に出せる空気さえあれば全然つらくないというか

実際、女性陣からそういう風に思われていた合コンも、気まずさに触れて巻き返すことができます。

ただその際に注意しなければならないのは2.「自分を卑下しない」。

ここで自分を落としすぎてしまうと「可哀そう」という気まずい空気になってしまうので

たとえば、女性陣が全然盛り上がってなかったとしたら

「俺に対して、『ハズレ』的なこと思ってない?」

と気まずさに触れながら

「そう思ってるのだとしたら、君たち『木を見て森を見ず』だわ」

と言って適当に自分たちが個人ではなく全体としていかに優れているかをプレゼンしていけば良いし、その場に『森』という名字の男がいれば「森だけを見て」と森を一方的に持ち上げても良いでしょう。

とにかく、多くの人が人生でリスクを取ることができないのは

「気まずくならないように行動する」

からであって、もし

「気まずくなったとき、それを乗り越えようとする」

スタンスを身につければ、人生は本当に自由になると思います。

僕の知り合いでこのスキルの使い手がいるのですが、

その人は昔、仕事で大きな失敗をしたことがあるのですが、会うたびに

「いやぁ、あのときはやっちゃったよ~!」

と笑いながら言うので、その失敗が全然気にならなくいし、応援したくなるんですよね。

「失敗から立ち直って何度も挑戦できる」

ことも可能にするスキルだと思います。


そして、今、これを書いていてふと思い出したのですが


僕がすごくお金の無いときに付き合っていた女の子がいて


僕はその子に


「毎回デートを100円以下にしたいのです」


ということを言っていました。

当時は本を出すことを夢見ながらアルバイトをしていたのですが

できるだけ多くの時間を本を書くことに使いたかったので、週2回以下しか働きたくなくて

収入がギリギリだったのです。

そこで僕が彼女に言っていたのは


「僕は本を出したいので、その一つの企画としてすべてのデートを100円以下に抑え、その内容を文章にしたいのです。もちろんその本はかなり売れることになるのでその印税でハワイに行こう」


彼女も面白がってくれて何度も100円のデートに付き合ってくれました。

残念ながら本が出る前に別れてしまいましたが、素敵な人でしたね。

……というか、今ふと思ったのが

この記事は「生きる上で一番大切なスキル」とか言って書き進めてきましたけど、それは単純に僕の思い上がりで

僕の周りにいた人たちが笑ってくれていただけなのかもしれません。

僕がお金が無かったり、失敗したりしたときは、その状況を必ずギャグにしていましたが

でも、もし彼らが笑ってくれなかったら、僕はみじめな気分を味わっていたでしょう。


というわけで


「生きる上で一番大切なスキルこと」は


失敗したり挫折しても、「お前は面白いなぁ」と笑ってくれる友達に囲まれていることなのだと思います。










勝間和代さんの「鼻の穴」について


勝間和代さんの

「有名人になるということ」

という本を読んだのですが

有名人という状態を客観的に分析しながらノウハウ化するという、ありそうでなかった素晴らしい本で一気に読んでしまったのですが、

本文中に、一点だけ、ご提案というか「ぜひこうして欲しい!」という部分を見つけてしまいました。

それは「あとがき」のP.214の部分で、僕が本書で最も好きな箇所の一つなのですが、





「有名人になる」ことそのものをゴールにするのはとても危険です。
(中略)
なにしろ、不特定多数の人から監視され、失言ひとつするたびに揚げ足をとられ、そして見ず知らずの人からさまざまな場所で、


「勝間和代嫌い」
「勝間の本の中身が薄い」
「鼻の穴」
「顔が気持ち悪い」


などと言われるわけですから







ここの部分で

ぜひ

「鼻の穴」



「顔が気持ち悪い」

の順番を入れ替えていただきたいのです。

たぶん、僕が思うに、ここは勝間さんがどんどん自虐をエスカレートするために

下に行けば行くほど、ヒドイ言葉に並べたと思われるのですが、

そして、その考え方はある意味では正しいのですが

ここで僕が強調したいのは


「鼻の穴」は、直接的な中傷の内容を含まないゆえに、むしろ破壊力が強いということなのです。



僕が中学生の時、人を中傷するあだ名が横行しました。


顔のホクロに毛が生えていた男は「ホゲ」というあだ名がつけられました。

大きな乳輪を持っていたことから「ビッグ」と呼ばれた男もいました。

しかし、その中で最も忘れられないあだ名は(確か中村という人物だったと記憶しているのですが)、

彼につけられた





「物体」




というあだ名でした。

一体誰がつけたのか、どうしてそのあだ名をつけられたのか、その経緯はまったくわからなかったものの

そのあだ名をつけた人間のセンスの高さと、容赦の無さに衝撃を受けました。

なぜこの「物体」というあだ名が秀逸なのか。

それは、

そもそも、あだ名というものは、誹謗中傷が意図されるのと同時に


「人間である」


ということを示しており、たとえば「ゴリラ」というあだ名の人は「ゴリラのような顔および体格を持つ人間」ということになります。


しかし、「物体」という抽象的な名詞を使うことで


「もはや人ですらない」という地位に貶める効果があったのだと推測されます。


そして、勝間さんが採用した「鼻の穴」にも


これと同様の効果が存在するのです。


そこで

先ほどの4つの項目


「勝間和代嫌い」
「勝間の本の中身が薄い」
「鼻の穴」
「顔が気持ち悪い」





「勝間和代嫌い」
「勝間の本の中身が薄い」
「顔が気持ち悪い」
「鼻の穴」


とすることで、


「もはや人ですらなくなっとる!」


という読者のツッコミを受けることでき、

売り上げが伸びるとまでは言いませんが

電車の中でこの本を読んでいる人たちを「吹き出させる」ことのできる確率が、約3倍上がると思われます。



勝間さんの「有名人になるということ」はきっと売れると思いますので


ぜひ、増刷分からこの変更をご検討いただければと思います。



PS.

ちなみに、改めて言うまでもないことですが、僕の意見は

「勝間和代好き」
「勝間の本の中身が濃い」
「顔が素敵」
「鼻の穴の大きさが完璧」
「勝間和代の鼻の穴を世界遺産に申請すべき」
「もはや『華の穴』だ」

です。












新刊情報
2年半ぶりの新刊です。
「人生で大切な4つのこと」が楽しく学べる本です。増刷決まりました!
プロフィール

mizunokeiya

Author:mizunokeiya
はじめまして。
水野敬也です。
著作は「夢をかなえるゾウ」、「ウケる技術」、「雨の日も、晴れ男」、「『美女と野獣』の野獣になる方法」、「大金星」。DVD作品「温厚な上司の怒らせ方」の企画・脚本も担当しました。
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